錦鯉初心者講座

錦鯉の品種

紅白

紅白は、錦鯉の中でもっとも人気がある代表的な品種です。
白地の上に緋斑があるだけ。赤と白を組み合わせた単純な品種ですが、雪のような白い肌に。大きくて鮮やかな赤が大胆に乗っており、その簡素さがかえって奥行きを深くしている意味合いがあります。

模様は、基本的に頭の部分でひとつ、背中の部分で2段目、尾っぽの部分で、バランスのよい3段模様が重要なポイントとなります。
なお、赤斑の模様はで「小模様」「大模様」と分けられ、模様の付き方によって、色々な呼び方がされています。

段物
緋斑が2段~5段に分かれたものを「段物」と言い、各々「2段紅白」「3段紅白」「4段紅白」と表現します。

一本緋
頭部から尾筒まで模様が連続しているものを「一本緋」と言い、緋斑を稲妻型となって連続しているタイプを「稲妻紅白」と呼んでいます。

丸天紅白
第1斑が丹頂のように頭部に丸く入っている錦鯉を「丸天紅白」と呼んでいます。

口紅紅白
口先に小さな緋がある場合は、「口紅紅白」と呼んでいます。

その他、丹頂紅白、鹿の子紅白、ドイツ紅白など、紅白系の中でも部類が分けられている品種があります。


大正三色

大正三色は、白色の地肌に、赤と黒の模様が入っており、頭部には赤の模様だけで黒い模様が入らず、胸ビレに黒の縞模様がわずかに入るものを基本としています。
緋斑の上に重なった墨斑を「カサネ墨」と言い、白地に入った墨斑を「ツボ墨」と言います。全体的に赤、白、黒のバランスを重視され、赤と赤の間に黒が入る形のツボ墨を持つ大正三色で、頭部に墨が入らず、尾止め手前付近まで左右にバランスよく墨が点在する錦鯉が良いとされています。
大正三色は、その模様の付き方によって、色々な呼び方がされています。

赤三色
緋斑が大部分を占め、その上に墨斑が重なる大正三色を「赤三色」と呼んでいます。

丸天三色
大正三色の中でも第1斑が丹頂のように頭部に赤く丸い斑紋を持つ錦鯉を「丸天三色」と呼んでいます。

口紅三色
大正三色の緋模様の中で、口先に小さな緋がある錦鯉を「口紅三色」と呼んでいます。

その他、丹頂三色、鹿の子三色、ドイツ三色など、大正三色系の中でも部類が分けられている品種があります。


昭和三色

昭和三色は、黒色の地肌に赤と白の模様が入り、胸ビレの付け根に黒い模様が入ったものを基本としています。
紅白に黒が乗ったもので、赤、白、黒で構成される色彩が、大正三色に比べ、より複雑な模様となっています。

大正三色とは異なり、頭部から墨が入り、黒が多いのが特徴で、黒の流れの連続性や豪快さを楽しむ品種です。
昭和三色は、その模様の付き方によって、色々な呼び方がされています。

緋昭和
緋斑が対部分を占めて、白地が少ない昭和三色を「緋昭和」と呼んでいます。

近代昭和
昭和三色の中でも、白地が多く、墨が少なく、明るい印象の錦鯉を「近代昭和」と呼んでいます。

ボケ昭和
墨部分がベタ墨でなく、墨部分にかすり模様のように仕上がっていない状態に見える昭和三色を「ボケ昭和」と呼んでいます。

その他、丹頂昭和、鹿の子昭和、ドイツ昭和、影昭和など、昭和三色系の中でも部類が分けられている品種があります。


べっ甲

べっ甲の種類には、白べっ甲、赤べっ甲、黄べっ甲、べっ甲ドイツなどの種類があります。
それぞれ、白い地肌に黒の模様が入ったものを「白べっ甲」、赤い地肌に黒の模様が入ったものを「赤べっ甲」、黄地に黒の模様が入ったものを「黄べっ甲」、べっ甲のドイツ種を「べっ甲ドイツ」と呼んでいて各々の特徴は下記のとおりです。

白べっ甲
白べっ甲の白地部分は、白くきれいで、黒の模様である墨が濃く左右にバランスよく入ったものが好まれます。
白べっ甲に緋盤を付ければ大正三色となる。逆に白写りに緋斑が加われば昭和三色となります。白べっ甲は、べっ甲を代表する錦鯉で、シンプルな味わいと華麗さを持つ品種です。

赤べっ甲
赤べっ甲は、赤い地肌に黒の模様が入った品種が特徴であることから、黒の模様次第では、とても華やかで綺麗な品種ですが、その状態によっては逆効果となることがあります。

黄べっ甲
黄べっ甲は、黄色い地肌に濁りが出やすい品種の錦鯉です。

べっ甲ドイツ
べっ甲ドイツは、白べっ甲のドイツ種(鱗が錦鯉の横と背ビレにあるもの)になります。

写りもの

地肌は黒色で白い模様の「白写り」、黄色い模様の「黄写り」、緋い模様の「緋写り」があり、白写りは、黒地に白が乗った白写り肌の白さと漆のようなつやのある黒とのコントラストが特徴で、豪快な黒が見る人を引き付けます。
現在、錦鯉の品種として写りものが見受けられるのは、白写りが大半ですが、その他にも次のような品種があります。

白写り
黒の地肌に白い模様が入ったタイプの錦鯉です。
白写りに緋斑が加われば昭和三色となり、逆に白べっ甲に緋盤を付ければ大正三色となります。

黄写り
黒の地肌に黄色い模様が入ったタイプの錦鯉で、黄色い模様部分が綺麗な錦鯉はあまり見かけません。

緋写り
黒の地肌に赤い模様が入ったタイプの錦鯉で、緋と墨が濃く綺麗な緋写りは希少価値が高いといわれています。

写りドイツ
写りドイツは、写りもののドイツ種(鱗が錦鯉の横と背ビレにあるもの)で、ほとんどが、「白写り写りドイツ」になります。

影写り
写りものの地肌の鱗が網目状になっている品種を「影写り」と呼んでいます。影写りの中でも白写り系の影写りを「白影写り」、緋写り系の影写りを「緋影写り」、ドイツ種の影写りを「影写りドイツ」と呼んでいます。
小さなゴマ墨部分なく、網目が綺麗に出て、黒地部分のバランスの良い錦鯉は鑑賞価値も高く品評会では変わりものとして出品されます。

光り無地

全身に模様が入らず、身体全体が光り輝く品種ですが、特に頭部の光り方が重視され、次に胸ヒレや腹部の光り方の良いものが良品とされています。
その色調より、
金色一色の品種を「黄金」
山吹色一色の品種を「山吹黄金」
白一色の品種を「プラチナ黄金」
赤一色の品種を「オレンジ黄金」
銀色一色の品種を「ネズ黄金」
などに分類され、鱗に覆鱗のあるものについては松葉黄金系の錦鯉として、
「銀松葉黄金」「赤松葉黄金」「黄松葉黄金」「瑞穂黄金」「松竹梅」とに分けられます。
光り無地の中で人気がある品種は、「山吹黄金」と「プラチナ黄金」です。


光り模様

光写りものは、昭和三色や白写りなど写りものの一部分が光り輝く品種で、写りものとしての評価はもちろん、光の強さや色彩のバランスが大切な品種です。
光り写りの中には、
昭和三色の光っものを「金昭和」
白写りの光ったものを「銀白写り」
黄写りの光ったものを「金黄写り」
とに分けられます。


光り写り

身体全体が光り輝く品種で、頭部、ヒレ腹部の光り方はもちろんのこと、色彩の鮮やかさや品種ごとに異なる模様のバランスが良い光り模様のポイントとなります。
光り模様は、光が強すぎると錦鯉の模様の色が薄れ、模様がハッキリしている錦鯉は、光が薄くなりがちなため、色も濃く、光も強い錦鯉は貴重な品種となります。
光り模様の中で、
紅白の光ったものを「桜黄金」
大正三色の光ったものを「大和錦」
五色の光ったものを「孔雀黄金」
山吹黄金とプラチナ黄金の張り分けたものを「張り分け黄金」
秋翠の光ったものを「錦翠」「銀翠」
といいます。


浅黄

真鯉の色素が抜けて白く変化したもので、錦鯉の原点となっているものです。
錦鯉は、この「浅黄」を原点に掛け合わせて色彩豊かな品種が次々と作られてきました。
網目のように並ぶ鱗と清涼感のある青い色が魅力で、頭部にシミが無く、おなかに鮮やかな赤があるものが良いとされています。
浅黄は、地肌の色合いや濃淡、緋の色や形状によって、水浅黄、滝浅黄、緋浅黄とに分けられています。


秋翠

秋翠は、浅黄のドイツ種(鱗が錦鯉の横と背ビレにあるもの)です。
背中に紺色の大きな鱗が後頭部から尾ヒレまで並んでいることが特徴となっています。
交配する品種によって「秋翠三色」「昭和秋翠」などに分類されます。


銀鱗

鱗が金、銀に光るもので、通称「銀鱗」と呼ばれています。
光り方は、鱗の1枚1枚が体の線に沿って平行に光るものや、それぞれ違う方向に放射状に光るものがあり、そのタイプには、「ベタ銀」「ダイヤ銀」「パール銀」とに分かれます。
光り輝く鱗が白地や墨斑の中で光ると銀色に見え、緋斑の中で光ると金色に見えます。
銀鱗は様々な品種に載せられて作られますが、代表的品種は、
紅白に載せた「銀鱗紅白」
大正三色に載せた「銀鱗三色」
昭和三色に載せた「銀鱗昭和」
べっ甲に載せた「銀鱗べっ甲」
写りものに載せた「銀鱗写り」
浅黄に載せた「銀鱗浅黄」
等があります。


丹頂

丹頂は丹頂鶴のように、頭に○ひとつある鯉で、頭全体に入った赤と透き通るような白い肌が特徴で清楚さが魅力です。
頭部に丸い赤斑があるいことから、紅白の錦鯉の品種の中で各々を「丹頂紅白」「丹頂三色」「丹頂昭和」と言う具合で分類しています。


ドイツ

鱗が鯉の横と背ビレにあるものを「ドイツ鯉」、鱗の無いものを「鏡鯉」という。各品種にいる。背と腹部の鱗の整列が整然と美しいことがポイント。


五色

浅黄の地体に緋模様が載った品種です。

五色三色
浅黄と大正三色の交配により作出された品種で、浅黄の地体に、赤、黒、浅黄の青、濃紺が載って、色々な色が重なって見えたことから、五色三色のことを五色と呼んでいました。
五色昭和
浅黄と昭和三色の交配により作出された品種です。
春雷
春雷は、墨衣と五色を交配させた品種です。
ドイツ五色
ドイツ五色は、五色とドイツ鯉を交配させた品種です。

紅白からの改良品種で、鱗の先端が半月状に藍また黒く染まった品種で、鱗の染め方から「衣」と呼ばれています。
紅白の緋斑を基調に渋さを魅せる品種で、衣の色から大別して、緋模様の上に藍色の出た「藍衣」と黒色の出た「墨衣」に分類されるが、現在では藍衣が主流となっています。

現在は、品種改良により、大正三色の緋盤に藍地が入った「衣三色」や昭和三色に藍地が入った「衣昭和」などがあります。
その他にも、衣が半月状ではなく、緋と重なって二色混合の色彩を見せる「葡萄衣」や藍衣にドイツ鯉を重ねた「衣ドイツ」とに分類され、人気品種の一端になっています。


孔雀

鳥の孔雀が羽根を開いた美しさを連想させることから孔雀と名付けられ、正式には「孔雀黄金」という。
浅黄をベースにして光りと緋模様を加えた品種で、紅白的な模様と浅黄の網目を持ち、光沢の強いものが良い。